Staff interview #07 笹部 和幸 / Kazuyuki Sasabe

世にも奇妙な英語学習マーケット

ゼクシィの事業部から2014年に異動してきまして、最初は海外の視察や受験サプリの戦略策定をし、そのうちに当時あった資格サプリを担当することに落ち着きました。

当時、資格サプリのサービスメニューのなかで有望に見えたのは簿記とTOEICに関するものでした。とくにTOEICは好調で、それがのちのスタディサプリENGLISHに発展していくことになります。

英語学習マーケットには、個人的にも大いに関心があったんです。これだけ未完成な世界も珍しいところが気になっていて。なんらかの英語学習にお金を払っている人は多いけれど、実際に話せるようになっている人なんてほとんどいないでしょう?9割5分以上は話せるようにならないんじゃないか。これはおかしい。そこを変えられるのならおもしろいじゃないかというのが、興味の源泉です。

かなり変わったマーケットなんですよ、英語学習って。数千億の規模があるのに、正解が全く見出せていない。たとえば、聞き流すだけで知らず英語が聞けるようになるというサービスって、出回っていますね。あれは科学的な第二言語習得の理論からすると、それだけじゃほぼ身につかないとされていますが、たくさんの受講者がいる。

僕は野球をやっていましたけど、昔は合理性のない練習方法や規則がまかり通っていたものです。練習中は水を飲むなとか。英語学習って、いまだにそういう段階なんです。

でも、少しずつ正しそうな方法は見えてきていて、それを提供していくんだということでサービスを立ち上げていきました。

やりきる仕組みをつくるのが、英語学習のコツ

事業立ち上げは、けっこう難産でした。起案をしようということになって、会議にかける前日の夜に山口文洋さんに内容を見てもらったら、イチからつくり直す勢いになってしまって、ほぼ徹夜で仕上げ直しました。

英語の学習コンテンツってネットにいくらでも転がっていて、タダで使うのは可能なんです。でも、いっこうに効果が上がらない。サービス提供側とユーザーが思い描いているものにはどこか大きなギャップがあるようです。それは何なのか。コンテンツやメソッドが正しくないというのがまずはありますね。さらには、たとえ正しくても、それをやりきることが、ほとんどの人はできていないのです。

じゃあ、やりきる仕組みができれば、効果は上がるんじゃないか。そのころ、やりきるための仕組みづくリが、ちょうど隣の部署で進んでいました。スタディサプリの合格特訓コースのプロダクトですね。テスト段階でしたけど、コーチングを適切にするとユーザーに学習習慣がつくのが見えてきていた。担当者から、これ英語のほうでも使えますよと言われて、じゃあぜひこちらでも使おうと、ENGLISHでもコーチングを取り入れていくことにしました。

正月など新しく生活が始まるときに、新しいことをやってみたりはするけど、三日坊主になってしまうことは多いですよね。そういう「三日坊主市場」のコアターゲットが、かなり使ってくれていますよ。

ユーザー・バリューとマネタイズ、どちらを優先するべきなのか

僕は2005年にリクルート入社で、ずっと新規事業を開拓する事業開発の部署にいました。ふたつくらい大きい失敗をしているんですが、それはどちらもユーザーへの提供価値よりマネタイズに優先順位を与えたことによって、うまくいかなくなった例でした。

マネタイズの方法をきちんと確保するのは大事ですが、優先順位はユーザーへの提供価値が上。ユーザーの価値かマネタイズのどちらを優先しているかは、ユーザーにすぐわかってしまうものです。

仕事上でも、その基準はいつも念頭に置いておきたいと思っています。たとえば、今エンジニアに何をつくってもらうか決めなくちゃいけないとする。一方では、復習を効率よくやれる仕組みを入れてほしいという声がある。でもそれは導入しても短期的にはお金にならない。対して、クーポンコードをこれくらい発行してほしいという声があったとする。これは短期のマネタイズにはなる。ただし、プロダクトがよくなっているかといえば、何もよくなってはいません。

エンジニアリングのリソースが限られているのでどちらかしかできません、というときに、どんな選択しているか。そうした日々の積み重ねが、けっこう大きな影響を及ぼします。クーポンも大切だけど、クーポンだけやっていてもダメだということは、浸透させなければいけないでしょう。

お金には強い引力があるので、放っておくとそちらに引っ張られるものなのですよね。数字に換算できるから、わかりやすいのかもしれない。ユーザーへの提供価値はなかなか置き換えるのが難しい。でも、そこも改善したい。ユーザー価値をちゃんと数字にして、それを最優先指標にしようという取り組みをしています。逆に、指標にならないサービスは手がけないようにもしたい。

英語学習マーケットでいえば、ユーザーに英語を話せるようになってもらうのが目的ですが、じゃあ英語を話せるってどういう状態ですかということを突き詰めて考えていって、ちゃんと指標を設けて評価できるようにしていきたいと思っています。

エンジニアがもっと意見できる環境を

大学生時代に僕は、エンジニアとして仕事をしていました。そのままエンジニアの道に進まなかったのは、自分があまりいいと思えないものを、業務だからといって無理やりつくらされるのが嫌だったからです。

そういうバックグラウンドもあるので、エンジニアの側がプロダクトへ意見を出せる環境は重視してますし、ぜひ整備したいです。ビジネスサイドがイマイチなことを言っているなと思ったら、エンジニアだって「俺がこのアイデアを出す」と言えるようになったほうがいい。

望めばそういう行動もできる仕組みを整備して、動かし始めました。案件のエントリーを明文化して誰でも参加できるようにしています。とにかくオープンにやるということを徹底しますので、エンジニアの方々には活用してもらえればと思っています。

コーチングの可能性は無限大

Quipper・スタディサプリ事業全体を眺めたとき、コーチングのプロジェクトは有望だろうと思っています。AIが人に代わってコーチの役割も果たすという話がありますが、それには懐疑的です。人が何かをやりきるには、気持ちが動く必要があります。人の気持ちを動かす仕事って、AIが最も苦手なところなんですよね。

この人はどんな勉強をしたらいいかということは、AIが素早く計算して導けばいいし、それを本人に伝えるときは、生身のコーチがしたほうがいい。そのほうが人の気持ちを動かしますから。

オンラインのコーチングモデルは、もっといろいろ拡大していきたいですね。たとえば、今は子育てをしている元キャビンアテンダントの人がいるとします。空き時間に、英語の能力を活かして働きたいと思っているのだとしたら、オンラインコーチの仕事ができるようになったらいい。人が持っているスキルとちょっとした時間を、テクノロジーの介在によって距離を超えて結びつかせる。そうすると、新しい仕事や学びを生むことが、どんどん可能になっていくはずです。Quipper・スタディサプリの可能性は本当に大きいです。
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